あらすじ
イーサン・ハント(トム・クルーズ)は、ある任務の失敗からプルトニウムを奪われてしまいます。
その背後にいるのは、かつての宿敵ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)率いるテロ組織「シンジケート」の残党たち――“アポストル”。
彼らの目的は、核兵器による世界同時テロ。
人類を再構築するという狂った理想のもと、世界は再び破滅の危機に晒されます。
CIAはIMFのやり方を信用せず、監視役として敏腕エージェントのオーガスト・ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)を同行させます。
しかし、ウォーカーの正体には大きな秘密が隠されていました。
仲間への信頼。任務の責任。そして個人としての良心。
そのすべてが交錯する中、イーサンは“誰を信じるか”という究極の選択を迫られます。
見どころ①:息をのむアクション、命懸けのリアリティ
この作品のアクションは、まさに“現実の限界”。
トム・クルーズが自ら挑んだスタントは、もはや常軌を逸しています。
ビル間ジャンプ、スカイダイビング、ヘリコプター操縦――どれも本当に彼がやっている。
特にヘリコプターのシーンは圧巻です。
カメラが空を切り裂くように旋回し、山脈の谷間をすり抜ける。
CGでは絶対に出せない“重力の手応え”がある。
パリ市街でのバイクチェイスも凄まじい。
赤信号を無視して突っ込む車列、すれ違うバス、観光客。
その中を、トムが一人で疾走する。
その緊張感に、呼吸を忘れそうになる。
シリーズを重ねるごとに過激さを増すスタント。
けれど、『フォールアウト』のすごさは“派手さ”ではなく、“本気で走っている”というリアルさです。
映像のすべてが、トム・クルーズという俳優の執念でできている。
見どころ②:信頼と裏切り、その狭間にいるイーサン
イーサン・ハントという男は、常に“信頼”を軸に動いています。
誰かを救うために任務を捨てる。
たとえそれが世界を危険にさらすことになっても、人を見捨てない。
その“甘さ”が、彼の最大の強さでもある。
本作では、その信念が何度も試されます。
味方だと思っていた相手が裏切り、信じていた関係が揺らぐ。
それでもイーサンは、人を信じることをやめない。
イルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)との関係も見どころです。
敵か味方か――互いの立場が交錯する中で、言葉を超えた信頼が積み上がっていく。
彼女が銃を構えるその瞬間、観る者の心臓まで緊張で締めつけられる。
イーサンはヒーローではなく、“信じることに命を懸ける男”。
その人間らしい不器用さが、このシリーズの核にあります。
見どころ③:チームが支える、もうひとつの「家族」
IMFの仲間たち――ベンジー(サイモン・ペッグ)、ルーサー(ヴィング・レイムス)。
彼らの存在があるからこそ、イーサンは人間でいられる。
ベンジーの軽口や、ルーサーの冷静な判断。
この二人がいるだけで、チームの温度が変わる。
ミッションの途中でベンジーが命の危険に晒されるシーン。
イーサンは任務を放棄してまで彼を救おうとする。
その瞬間、彼が“チームのために生きる男”であることがはっきりする。
それは上司でも部下でもない。
“家族”のような絆です。
派手なアクションの裏にある、静かな信頼の積み重ね。
このバランスこそ、『フォールアウト』がシリーズ最高傑作と言われる理由です。
見どころ④:ウォーカーという存在――純粋な「力」の恐ろしさ
ヘンリー・カヴィル演じるオーガスト・ウォーカーは、シリーズ屈指の強烈な敵キャラクターです。
彼の動きは、まるで“鉄の塊”。
筋肉の重み、拳の速さ、呼吸の荒さ――そのすべてが暴力として伝わってくる。
狭いトイレで繰り広げられる肉弾戦。
カメラが壁にぶつかりそうなほど近く、息づかいまで聞こえる。
殴る音が痛いほどリアルで、観客まで殴られているような錯覚に陥ります。
彼はただの悪役ではありません。
冷静で、目的のために人を犠牲にすることをためらわない“合理的な怪物”。
イーサンの「信じる心」と真逆に位置する存在です。
だからこそ、二人の対決には“思想のぶつかり合い”がある。
どちらが正しいのか。どちらが正義なのか。
その答えを観客に委ねるようなラストが、深い余韻を残します。
まとめ
『フォールアウト』は、アクション映画の枠を超えた“信頼の物語”です。
スリルと爆発の連続の中で描かれるのは、人を信じる勇気と、その結果に伴う痛み。
イーサン・ハントという男が、なぜここまで走り続けるのか。
それは世界を救うためではなく、信じる仲間を裏切らないため。
観終わったあと、心に残るのは“人の温度”。
トム・クルーズという俳優が、誰よりも体を張り、誰よりも真っ直ぐに“信頼”を演じている。
派手なスタントの裏には、静かな信念がある。
『フォールアウト』は、イーサン・ハントという男の生き様そのものです。
作品情報
| タイトル | ミッション:インポッシブル/フォールアウト |
|---|---|
| 原題 | Mission: Impossible – Fallout |
| 公開年 | 2018年 |
| 監督 | クリストファー・マッカリー |
| 出演 | トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、レベッカ・ファーガソン、サイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス、ショーン・ハリス |
| 配信 | U-NEXT、Amazon Prime Video、Netflix ほか |

